|| 「親なきあと」の始期
親なきあと、子どものことが心配です。将来のことをシュミレーションしてみましょう。
「親なきあと」の始期はいつになるのでしょうか?
親がどのような状態になったときに、子どもの生活に支障が出はじめるか考えてみましょう?
1.健康寿命が過ぎたときから
2.判断能力が不十分となったときから
3.他界した時から
*参考:健康寿命 男73歳・女75歳
私は、2番目の「認知症等により、判断能力が不十分となったときから」が正解と考えます。認知症の症状が発生し、言動の様子が、誰から見てもおかしいと思われたら、もう子どもの面倒や看護は残念ながらできなくなります。
一事例ですが、認知症の症状が出てしばらくすると、自分の子どもの顔すら認識できない状態となります。また、一人で何とか歩くことはできるので、徘徊という行動にも出てしまうのです。
体はまだ動くけど、判断能力が不十分なため、自分の子どもの面倒を見ることができない、看護しなければならないという意識すらなくなるのです。
そうならないために何をすればいいのか、と考えるより、仮にそうなったら、前もって何をしておけばいいのか、を考えた方が建設的であります。
1番目の健康寿命が過ぎたとき(頭はしっかりしているが、体力的にきつくなったとき)から、次の2項目を検討し始めることがとっても重要と思います。
<事前準備が大事>
1.成年後見制度の活用の検討
◎判断能力が十分にあるうちに、任意後見契約公正証書を作成する。
この公正証書契約の条項に「私が認知症になって、子どもの世話ができなくなったら、この子の法定後見の申立ての件をお願いします」という内容を組み入れておくようにする。
2.家族信託や遺言代用信託という財産管理に関する仕組みの検討
◎検討するにあたり、家族(親族含む)間で家族会議を開催し、契約内容を共有化を図る必要があります。特に法定相続人となるものの出席は必須です。
このように、「親なきあと」の始期は、「認知症等により、判断能力が不十分となったとき」ではありますが、子どもファーストの観点で考えれば、実は「健康寿命が過ぎ体力的にきつくなったとき」からもうすでに始まっていることを深く認識すべきであると思います。